矢部太郎さん 海外で勉強したい!「セーヌ川の似顔絵屋さんて絵になりそう」
楽しいのはスペシャルコメディー
芸人としては舞台に出たいというのはあります。今は新宿のルミネtheよしもとでネタ組の後にあるほんこんさんらが座長の大阪の新喜劇みたいな、スペシャルコメディーに出させてもらっています。ほんこんさんが座長のステージには大山英雄さんという福山雅治さんのモノマネをしている方などが出演しています。その中にシベリア文太さんという芸人さんがいらっしゃって、間寛平さんのお弟子さんです。文太さんは滑舌がものすごく悪くてそれをネタにも取り入れています。文太さんが何を言っているかわからないのをほんこんさんがイジるパートが一番盛り上がります。文太さんとは普段も仲良くさせてもらっていて、一緒に電器屋さんに行ったことがあります。文太さんが店員さんに「電池はどこですか」と聞いたら案内してくれてベンチに座らされました(笑)。
普段は電話でのクレームを受けるアルバイトをされていて、文太さんがクレームを受けるそうなのですが、文太さんが何を言っているかわからないので、電話してきた人が諦めてクレームが減ったらしいです。そんなルミネの舞台にも力を入れたいですね。
■描くか経験者の母に相談
「ぼけ日和」は最初、長谷川嘉哉先生の著書の「ボケ日和」という装画を担当したんです。そのご縁で漫画にする話をいただきました。装画のお話をいただいた時は何も知らない僕が描いてよいものか……と断ろうと思っていました。
でも、読んでみたら認知症は老化の一環みたいなものということを、症状を春夏秋冬に分けてわかりやすく書いてありました。認知症について心構えができる本だなと思いました。つらい感じではなくて、ちょっとユーモアや笑いもあって。病気の不安をあおって「買え!」っていう本だったら嫌だなと思っていて、その真逆なのがよかったです。
母にも「認知症の本の仕事が来たけど」と相談しました。実は母はもう退職しましたが、特別養護老人ホームで長年働いていたんです。そうしたら、ぜひやった方がいいと言われました。
僕はもちろん専門家じゃないし、とにかく読みやすいものと考えて、タイトルもカタカナから「ぼけ」とひらがなにしました。ひらがなのマジックでやさしく見えますね。僕の新作? とも一瞬見えるところもありますが(笑)。ぜひ詳しく書いてある長谷川先生の「ボケ日和」も読んでみてください。
(聞き手=峯田淳/日刊ゲンダイ)