中島みゆきの巻 まん丸のメガネ、短い鉛筆 ノートにちっちゃな字で書かれた詞
初めて本人にお会いしたのは、みゆきちゃんの曲を初めて歌うレコーディングの日。スタジオに入るとディレクターとかスタッフがみんないて「みゆきちゃん来てる?」って聞くと、ミキサーの人が「いらっしゃってます」。周りを見渡してみたんだけど、最初は気がつかなかった。で、よく見ると、スタジオの隅っこのソファに背中を丸めて座っている、見るからに真面目そうな女性がいるの。そしたら「あの人です」って。
「えっ! うっそー!」
思わず、大きな声で叫んじゃいました(笑)。すぐに姿勢を正して「このたびは、ありがとうございます」って挨拶すると、みゆきちゃんは蚊の鳴くような声で「こちらこそ……ありがとうございます……」。詞を書くのに集中していたから、気もそぞろだったのかもしれませんね。
今はだいぶ変わったけど、その頃は髪を後ろに束ねて、下の方に結んで、まん丸のメガネかけて、短い鉛筆で、ノートにちっちゃな字で詞を書くのよ。でね、話をすると、見た感じと違って、心の奥に秘めている芯の強さと弱さが見え隠れするんだけど、やっぱり少し変わった感じだったかな(ゴメン笑)。