フィギュア村上佳菜子さんが振り返るソチ五輪選考会の決断「直前の曲目変更が吉と出た」

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五輪にはパソコンを持参しハライチさんのネタを見てリラックス

 そして全日本選手権のショートプログラムの瞬間。ぶっつけ本番ですから不安がありました。でも、いつもなら「試合、怖いなあ」と思ったり、前の選手の点数を見て緊張するのに、その日は「大丈夫、私ならできる」というマインドになることができた。吹っ切れたのか、練習を頑張った自信なのかわからないですけど、強いメンタルになれました。

 演技中はゾーンに入った感じで不思議な感覚になっていましたね。結果はショート3位。フリーは自信があり、総合で2位に。

 ソチ五輪に行けるとわかった瞬間はすっごくうれしかったです! それまで周りから「五輪に行ってほしいけど、無理そうだね……」という空気が流れていて私自身傷ついていましたし、最後の全日本に懸けていたから。

 私が五輪に出られたのは曲変更を決めた瞬間があったから。結構、優柔不断なので、あの時の決断が大きかった。

 それだけ曲目がフィギュアスケートには重要ということですね。合わない曲は毎日練習しても合わないんです。選手によって得意な曲調があり、私はドラマチックな曲が合っているので、クラシックでも映画音楽が多かったですかね。

 初めての五輪の瞬間は他の世界大会よりさらに日本を背負っていると感じました。普通の大会だとお客さんは選手個人の名前で応援してくださるけど、五輪は「ジャパン」とか「イタリア」というアナウンスで声援が上がる。サッカーのW杯みたいな印象です。

 フィギュアスケートは選手がリンクで静止してポーズをとると歓声が静まり、音楽が始まりますが、五輪は曲が鳴るまで声援や拍手が鳴りやまない。私はシーンとしてから曲が始まる数秒で集中してましたから、動揺し、めちゃくちゃ緊張しました。

 五輪のあの雰囲気にのまれない選手だけが「五輪にいる魔物」に勝てるのかと。出なければわからない感覚でしたね(結果は12位)。

 引退は17年。プロフィギュアスケートや子供たちの指導と並行し、最近はタレント活動もさせていただき、楽しいです。昔からテレビっ子でしたし、お笑いが好きで五輪にはパソコンを持参して好きなハライチさんのネタを見てました(笑)。

 芸人さんと共演するのがうれしいので、今年はお笑いの中に入ってみたいです。

(聞き手=松野大介)

村上佳菜子(むらかみ・かなこ) 1994年11月、愛知県出身。2014年ソチ五輪出場。同年の四大陸選手権で優勝。引退後タレント活動も。

●村上佳菜子のフィギュアスケート音楽会 3月16日&17日、東京文化会館大ホール(スペシャルゲスト高橋大輔)。チケット購入など詳細はHPまで。

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