著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

【追悼】曙太郎(下)仕掛け人が明かす「K-1」に電撃転向した3つの理由と貴乃花への絆

公開日: 更新日:

番外編

 K-1プロデューサーだった谷川貞治が、2003年晩秋、東関部屋の部屋付き親方だった曙を突如訪ねたのは、以前日刊ゲンダイで連載していた「大晦日の真実」で詳述したように「大晦日にボブ・サップと戦ってほしい」という希望があったからである。

 本来なら「マイク・タイソン対ボブ・サップ」という一戦が決まりかかっていたが諸事情により断念。そこで谷川は、マイク・タイソンに代わる大物として、曙に白羽の矢を立てたのだ。

 谷川貞治が「手応えはあった」と語る理由は次の3つ。①師匠である東関親方(元高見山)との関係が修復不能なところまできていたこと。②親族にハワイの食料品や雑貨を売る店舗を赤坂にオープンさせたが、経営は赤字続きだったこと。③「興行本部長」としてチケット販売に苦労していたこと。これらに加えて、ハワイの先輩力士である小錦が「おまえには絶対に相撲協会の体質は合わない。俺みたいにタレントになれ」と再三誘いをかけていたことも後でわかった。

 谷川のもくろみは的中する。突然の来訪にもかかわらず、曙は相撲協会を退職、K-1転向を決意したのだ。「奥さんの後押しも大きかった」と谷川が振り返るように、最も近くにいる妻からすれば、興行本部長をこなしながらの部屋付き親方は、我々が想像する以上に激務だったのかもしれない。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    菊川怜の元夫は会社が業績悪化、株価低迷で離婚とダブルで手痛い状況に…資産は400億円もない?

  2. 2

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  3. 3

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  4. 4

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  5. 5

    斎藤元彦知事ヤバい体質また露呈! SNS戦略めぐる公選法違反「釈明の墓穴」…PR会社タダ働きでも消えない買収疑惑

  1. 6

    渡辺裕之さんにふりかかった「老年性うつ」の正体…死因への影響が報じられる

  2. 7

    水卜ちゃんも神田愛花も、小室瑛莉子も…情報番組MC女子アナ次々ダウンの複雑事情

  3. 8

    《小久保、阿部は納得できるのか》DeNA三浦監督の初受賞で球界最高栄誉「正力賞」に疑問噴出

  4. 9

    菊川怜は資産400億円経営者と7年で離婚…女優が成功者の「トロフィーワイフ」を演じきれない理由 夫婦問題評論家が解説

  5. 10

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”