著者のコラム一覧
北島純映画評論家

映画評論家。社会構想大学院大学教授。東京大学法学部卒業、九州大学大学院法務学府修了。駐日デンマーク大使館上席戦略担当官を経て、経済社会システム総合研究所(IESS)客員研究主幹を兼務。政治映画、北欧映画に詳しい。

Mrs. GREEN APPLE「コロンブス」は何が問題だったのか? 映画で「奴隷制」を理解する

公開日: 更新日:

 当時の黒人奴隷は人として扱われずモノ扱い。何をしようが所有者の自由とされ、凄惨な虐待を受けてもいた。そうした実態を描いた映画として衝撃を与えたのが、「ミクロの決死圏」や「トラ・トラ・トラ!」で有名なリチャード・フライシャー監督の映画「マンディンゴ」(1975年)。ルイジアナの農場が舞台だが、屈強なマンディンゴを商品として「繁殖」させる「奴隷牧場」が実態で、おぞましい非人道的な描写が続く。クエンティン・タランティーノ監督が2012年の映画「ジャンゴ 繋がれざる者」でオマージュを捧げたことで再評価された。「ジャンゴ」は黒人奴隷(ジェイミー・フォックス)が賞金稼ぎとなって妻を奪還する傑作映画で、タランティーノはアカデミー賞脚本賞、共演のクリストフ・ヴァルツが助演男優賞を獲得した。

■スピルバーグ監督が真正面から向き合った「アミスタッド」

 奴隷問題に正面から向き合った映画といえば、スピルバーグ監督の「アミスタッド」(1997年)も忘れられない。奴隷貿易のスペイン船で反乱を起こしたジャイモン・フンスーが刑事裁判にかけられるが、南北戦争前夜の国際政治に翻弄される。最高裁で被告人の弁護を行うのがアンソニー・ホプキンス演じる元大統領。ダメ親父かなと思いきや、独立宣言を引用して格調高く自由の尊さを訴える演説シーンは心を揺さぶる。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フワちゃん「やす子いじめ」で性格の悪さ露呈…“篠原ともえ級”キャラ変しか生き残る道なし?

  2. 2

    フワちゃん芸能界追放へ…やす子への暴言炎上は鎮火せず SNSの“NGフレーズ”が致命傷

  3. 3

    フワちゃん暴言→謝罪は何が問題だったのか? 大炎上の鎮火方法は1つだけ…識者が見解

  4. 4

    健大高崎(群馬)青柳博文監督「野球部の年間予算が1億円? わはははは…」

  5. 5

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  1. 6

    朝6時に起きて息子の弁当づくり ご飯は土鍋で炊きます

  2. 7

    人気絶頂フワちゃんが突如フルボッコ状態…ベタ褒め芸風「タメ口」への嫌悪感が一気に噴出

  3. 8

    興南(沖縄)我喜屋優監督「野球しかしていない高校生の将来は誰が保証するのでしょうか」

  4. 9

    仮面夫婦といわれた松平健・大地真央の離婚

  5. 10

    ちあきなおみ(6)一瞬、驚いたように立ち止まったが、無言で歩き去った。会員限定記事