【胃潰瘍】検査結果を待つ間、コーヒーの味がわからず…
両側の鼻の穴から麻酔を噴霧された後、体を横向きにされ内視鏡を入れられた。違和感は少しあったが痛みはまったくない。
内視鏡は鼻からゆっくりと喉を通過して、胃の中に入った。
「20分ほどの検査だったでしょうか。『病理検査のために胃の細胞組織も採取しますから』と説明されました。思ったよりも早く終わって、『検査結果は2時間後にわかりますので、待機していてください』と言われました」
病院の近所の喫茶店で待つこと2時間。どんな結果が出るか……不安のあまり、コーヒーの味はしなかった。
大橋さん夫婦は、再び検査室に呼ばれた。
「がんではありませんね。軽い『胃潰瘍』です。胃潰瘍の主な原因とされるピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)の感染も認められませんでした。原因は、加齢のほかに暴飲暴食かストレスでしょう」
医師から診断を知らされ、がんを疑っていた大橋さんは心底ホッとしたという。
もっとも、胃潰瘍だって甘く見てはいけない。胃の中は内側の「粘膜」から「漿膜」まで4つの層が重なっている。胃の中で食べ物を消化してくれる胃酸が、何らかの原因によって胃粘膜まで消化させたために胃壁がただれ、あるいは傷をつけてしまう。これが胃潰瘍だ。