老いた親がよく転ぶ…それなら「治る痴呆症」の可能性あり
「だからこそ、適切な診断が重要。しかし、それが行われておらず、別の認知症やパーキンソン病、うつ病などと誤診され、違う治療を受け続けている患者が非常に多いのです」と言うのは、特発性正常圧水頭症治療の第一人者、東京共済病院・桑名信匡院長だ。
この病気の特徴は、歩行障害だ。
「さっさと歩けなくなり、小刻みでちょこちょこ歩きしかできなくなる。高齢者で転倒を繰り返す人の多くは、特発性正常圧水頭症が原因かもしれないとも考えています。これはかなりの確率で当たっているでしょう」
物忘れ、排尿が間に合わないなどの症状も表れる。アルツハイマー病でも排尿が間に合わないことはあるがかなり進行しないとならない。一方、特発性正常圧水頭症では早期や軽症でも見られる。
MRIで脳室拡大の有無を調べ疑いがあれば、一度腰に細い針を刺してたまった髄液を抜く「タップテスト」を行う。局所麻酔をするので痛みはなく、20分ほどで終わる。症状が改善するようであれば、たまった髄液を排出させるバイパスを作るシャント手術になる。
「Aさんのように、驚くほど手術で変わります。“年のせい”と思って見逃しているケースも多いのですが、おかしいと思ったら、一度検査を受けてください」