気になる手の震え…「本態性振戦」はなぜ起こる
手が震えて文字がまともに書けない。コップがうまく持てず、お茶をこぼしてしまう。そうした日常的な手の震えに悩む高齢者は多い。震えの原因や治療法について、東京都健康長寿医療センター神経内科の村山繁雄部長に詳しく聞いた。
誰でも緊張したり、興奮すると手が震えてしまうことがある。これは「生理的振戦」と呼ばれ、病気ではない。しかし、ほんの少しの緊張でも震えが止まらなくなったり、字が書けなくなるなどの症状が頻繁に起き、日常生活に支障を来すようになると、「本態性振戦」と診断される。
「本態性」とは原因が分からないという意味で、「振戦」は戦の時の武者震いからの転用だ。命に別条はないが、自身で抱いている“ボディーイメージ”を損なったり、他人の目が気になる、実際、日常動作に影響が出るなど悩む人も多い。
なぜ、こうした震え(振戦)が起こるのか。
「人は興奮したり、緊張すると、手や首、時に声、まれに足の震えが起きますが、本態性振戦の詳しいメカニズムについてはまだ研究中です。加齢をはじめ、何らかの理由で脳の機能のバランスが崩れ、震えが出やすくなることが分かっています。20代と60歳過ぎの2つのピークがあることも分かっており、ほぼ10人に1人は罹患しているという報告もあります」