治療の第一人者が語る 「脱・薬物依存」最新プログラム
反省と回復は別問題だ。患者はすでに十分、反省している。深く反省して、人によっては「いっそ死にたい」とまで思いつめているのに、それでも薬物に手を出してしまう。
日本では「薬物依存には刑罰を」との風潮が強い。逮捕されて刑務所に入所すれば、確かにクスリをやめられる。クスリを使える環境でなければ、薬物への欲求は湧いてこない。
しかし、刑務所から出てクスリを使える環境になると、手を出してしまう。ある患者は「刑務所内では二度とやらないと誓っていたが、出たら人格が変わってしまったようにクスリを使いたくなった」と話したという。
「薬物と手を切るには、治療をおいてほかにありません。重要なのは、継続的な治療なのです」
■7~8回の大失敗は対回復へのアプローチ
松本部長が2006年に開発したプログラムが「SMARPP(スマープ)」だ。週1回、精神科医などのスタッフと患者がグループになり、薬物への欲求をコントロールする方法を学ぶ。
毎回尿検査をするが、薬物反応が出ても患者を責めない。警察には通報せず、自首も勧めない。参加を歓迎し、欠席者には「来てくださいね」とスタッフがメールを送る。これによって、初診から3カ月間の治療継続率は9割以上に伸びた。スマープ不参加群は6割以下なので、かなりの差だ。