治療の第一人者が語る 「脱・薬物依存」最新プログラム
「薬物依存の患者さんは、通報への恐怖などから誰にも相談できない。その孤立化が一層、薬物使用へ走らせる。スマープで安心して何でも話せる場を得て、薬物をやめるきっかけをつかんでもらうのが狙いです」
スマープ終了後は、薬物依存から回復した当事者たちのリハビリ施設や自助グループで、クスリを使える環境でもクスリを使い続けない方法を学ぶ。
さらに最近、松本部長は、刑が一部猶予されて早期に保護観察下での地域生活が始まったら、その時点から精神保健福祉センターに関わってもらい、必要に応じてスマープやリハビリ施設、自助グループにつなぐ試みに取り組んでいる。
そうすれば、保護観察終了後でも、何か困ったことがあれば地域のさまざまな支援機関につながりやすい。薬物依存症の人で、最も薬物の再使用が多いのは「刑務所から出た直後」で、次に多いのは「保護観察終了後」だ。このような仕組みがあれば、それら再使用のリスクを下げられるのでは、と期待されている。
薬物依存は、7~8回ほど大失敗(再使用で大きなトラブルを起こす)を繰り返し、回復に至る。大失敗は、回復へのアプローチなのだ。それすらも知られておらず、挫折とみなされてしまうのが現状だ。
■もしもの時は
もし、家族が薬物依存に陥っていたら、まずは地域の精神保健福祉センターに相談が望ましい。どうすればうまく治療へつなげられるかの適切なアドバイスを無料で受けられる。