「薬をやめたくない」患者の希望とどう向き合うべきか
薬の中には「やめられない薬」というものもあります。その理由には①「やめたら症状が悪化する(最悪の場合は死に至る)」、②「やめたくない」の2つがあります。
①の場合、たとえば1型糖尿病はインスリンを補うことが必要不可欠で、「インスリン製剤」を投与しなければ亡くなることもあります。また、臓器移植(造血幹細胞移植や肝移植など)を受けた患者は「免疫抑制剤」を使って免疫を抑えることが必須です。このように、①は「必要不可欠な薬」であることからやめることができません。
②の場合は、いくつか状況が考えられます。「やめたいけどやめられない(薬物依存)」ケースや、「その薬が“最後の切り札”であるが故にやめたくない」といったケースが想定されます。
中でも、後者は非常に難しい問題です。治療法がほかに見当たらず、その薬が最後の頼みの綱となると、患者やその家族が「やめたくない」と強く希望することは理解できます。
しかし、「それ以上、その薬を続けても治療効果が得られない」となってしまった場合はどうでしょう? しかも、その薬が高額薬剤だった場合はどうでしょうか?