日光浴で乳がんが予防できる?研究論文が専門誌に掲載
太陽光に含まれる紫外線はUVAとUVBに分けることができます。屋外での日焼けの原因は、主にUVBによるものです。UVAはUVBに比べて生体への影響は少ないといわれていますが、皮膚の奥深くまで到達する性質があり、シミやそばかすの原因になります。
また、紫外線を長期間にわたり浴び続けると、皮膚細胞が障害され、皮膚がんの発生リスクを高めることが知られています。
他方で、紫外線は皮膚の中でビタミンD生成を促すなど、生物にとって必要不可欠な側面もあります。血液中のビタミンD濃度が高い人では、がんのリスクが低下するという研究データも報告されており、皮膚がん以外のがんについて、日光浴の有益性が議論されてきました。そんな中、太陽光を浴びる時間と乳がんリスクの関連性について検討した研究論文が、環境健康科学に関する専門誌の2020年1月号に掲載されました。
この研究は太陽の下で過ごした時間と乳がんの関連性について、過去に報告された13件の研究データ(うち北米で行われた研究が8件)を統合解析したものです。解析の結果、生涯もしくは成人期において、夏季の数カ月間に太陽の下で過ごす時間が1日1時間以上の人は、1時間未満の人と比べて16%、統計学的にも有意に乳がんリスクが低下しました。