京大ウイルス学者が語る新型コロナ「ファクターX」の正体
新型コロナウイルスの抗原検査キットが「ヒト腸コロナウイルス」を検出している可能性も否定できないが、腸に指向性のあるコロナウイルスが鼻咽頭ぬぐい液に存在する可能性は低いだろう。やはり、新型コロナウイルスに類似の未知の呼吸器コロナウイルスが、過去に、また現在も、日本人に蔓延している可能性はあるのではないだろうか。
新型コロナウイルスやSARSコロナウイルスに抗原的に類似したコロナウイルスが、国内で密かに蔓延していた可能性が否定できないとなれば、それに対する免疫が新型コロナウイルスを抑える働きをしている可能性が出てくる。これが山中伸弥京大教授が言う、いわゆる「ファクターX」なのかも知れない。
私たち人類はいったい、いつから「ウィズコロナ」なのであろうか?
ヒトの最初のコロナウイルスである229Eが見つかったのは、1968年である。このウイルスは今も毎年冬になると人々に風邪を引き起こす。229Eに関しては、50年以上も「ウィズコロナ」であるのだ。
ところで、2004年に発見された普通の風邪を引き起こすヒトコロナウイルスであるNL63は、新型コロナウイルスとSARSコロナウイルスとは遺伝的にはやや遠縁であるが、ともに、同じ分子(ACE2)を受容体として使用して細胞内に侵入し、性質は似ている。ヒトに感染し始めた当初は、今回の新型コロナウイルスのように病原性は高かったかも知れない。