免疫の正しい知識<下>免疫力を高めるには腸内細菌を整える
ウイルスや細菌などの病原体を排除して自身を守る「免疫」は大きく「自然免疫」と「獲得免疫」の2系統に分かれている。さらに、自然免疫には、①「免疫細胞が関わらない構造的なもの」と②「免疫細胞によるもの」があり、獲得免疫も、③「液性免疫」(抗体が関与)と④「細胞性免疫」(細胞傷害性T細胞が関与)が存在する。
「自然免疫系は、病原体の侵入を防いだり、入ってきてもすぐに排除を始め、それでも対処できないと、より強力な獲得免疫系にバトンタッチして病原体を排除します。自然免疫系が処理した病原体は獲得免疫系に伝えられるように、4種類の免疫が協調してきちんと機能することが、感染を防いだり、感染しても無症状あるいは軽症のまま回復することにつながります」
自然免疫系と獲得免疫系の両方の働きを高め、とりわけ獲得免疫系を調節して暴走を防ぐために大きく関わっているのが「腸内細菌」だ。
われわれの体内には1000種類以上、100兆個以上の腸内細菌がいるといわれ、これら全体を腸内細菌叢と呼んでいる。ビフィズス菌や乳酸菌などの「善玉菌」、大腸菌などの「悪玉菌」、どちらにも属さない「日和見菌」の3つのグループがあり、まずはその種類が多いほど良い状態とされる。さらに、日和見菌は善玉菌が優位になると善玉のように働き、悪玉菌が増えると悪玉のように働く。