新型コロナに対応する医療者の「燃え尽き症候群」が心配
「あなたががんだなんて、そんな残酷なことをどうして言えようか」
「彼は死を自覚しないで亡くなったのがせめてもの慰めです」
患者に死を知らせない、死を告げない、それが患者への「最大の愛と思いやり」である――。そう、われわれは信じていた時代でした。
しかし患者は、医師には話さず看護師に訴えました。
「私はがんなんでしょう?」
「この赤い点滴は抗がん剤でしょ?」
「先生は大丈夫と言うけれど、私は知っているのよ。私はがんで死ぬんでしょう?」
患者と医師の間に入る看護師は、「患者が痛みに耐え、ウソで固められて死んでいく状況」に耐えられなかったという方もいます。当時、同僚だったある女性の看護師は、どのような団体が主催したのか分かりませんが、数十万円を払って密かに「自己啓発セミナー」と称する数日間の合宿に参加しました。そしてその後、病院には勤務せずに看護宿舎に滞在したまま羽毛布団の訪問販売を始め、しばらくしてから病院を辞めていなくなりました。間違いなく、バーンアウトしていたのでしょう。