人工呼吸器5000台分…「アベノマスク」の500億円超でできたこと
新型コロナウイルスの感染者数が累計で約15万人。感染者数の大幅な上昇傾向に歯止めがかからない。米グーグル社は11月24日から12月21日までの28日間の日本における感染予測を行っているが、それによればその期間の「新規の」感染者は6万4167人、死者は758人としている。この予測を見るかぎり、感染者数はもちろんだが、死者数の増加には驚く。12月3日現在で累計死者数は2260人(クルーズ船13人を含む)だから、死者は急激に増えることになる。
コロナ感染拡大以前の日刊ゲンダイ4月10日付の当コラムで、約100年前に流行した「スペインかぜ」に触れた。その中で、当時の政府が発行した「流行性感冒」と「日本帝国人口動態統計」をベースに2005年に東京都健康安全研究センターが行った調査データを紹介した。それによれば、スペインかぜ流行の第1波に比べて、第2波においては患者数、死者数ともに絶対数こそ減少したものの、対患者死亡率が1.22%から5.29%に上昇していることがわかる。
当時と現在の医療技術、医療体制を含めた社会状況は異なるから、単純な比較はできない。しかし米グーグル社の予測とスペインかぜの推移を照らし合わせて考えると、重症者増加が懸念される。すでに指摘されているが、いま医療崩壊の危機が迫っている。さらなる拡大防止に医療体制の整備、医療従事者の奮闘に応える早急な政策が必要だ。
それにしても、感染予防の効果さえ疑われ、言い出しっぺも含めて装着者は皆無に近い「アベノマスク」には500億円超の税金が使われたとか。この金で年収700万円の医療従事者を約7142人、1年間雇用できた。あるいは約1000万円といわれる人工呼吸器が5000台買えた。忘れてはならない。