患者さんの生活を丸ごと面倒見たい…スタッフに求められる気持ち
こんな患者さんがいました。生活保護を受ける独居の76歳の男性で、歩行障害により外来で治療を受けていたのですが、脱水症で左片麻痺。痛風発作も繰り返し、やがては外来通院困難となり在宅医療をスタートさせたのでした。
そんなある日、本人から熱中症かもしれないとの連絡がありました。部屋にはクーラーがなく、設置を勧めても、自身で費用を捻出するのは困難とのこと。そこでケースワーカーとも相談し、福祉の貸付金制度を利用。足りない金額は当院で分割払いの対応をすることにして、設置は当院のスタッフが行いました。
診療所がそこまでする必要があるのかと思うかもしれません。でも熱中症で倒れて、救急車を呼んで点滴をすれば、それで病床が埋まり、結果として限られた医療資源を使うことになります。
その後、患者さんの声がスタッフを通じて届いてきました。
「本当にありがとうございます。これで地獄のような暑い夏を生き抜いていけます。この前は大家さんもお見舞いに来てくれたんだよ。もっと長生きしなきゃね。本当にありがとうございます」