「DNAワクチン」はどのように作られる?効果は期待できる?
インドが世界に先駆けて、DNAがベースのインド製コロナワクチン「ザイコブD」に使用許可を出した。同じようなDNAワクチンは、米バイオ企業のイノビオ・ファーマシューティカルズや大阪大発バイオ企業のアンジェスも開発中だ。mRNAワクチンとは何が違うのか。
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【Q】DNAワクチンはどんな作り方か? 効果は?
【A】「DNAベースのワクチンは、mRNAワクチンよりも作製しやすく安定性があります。作り方としては細菌の中でSタンパク(スパイクタンパク)遺伝子を発現させるプラスミドを作ります。プラスミドとは細菌や酵母の細胞質内に存在し、核様体(DNAが織り込まれた構造物)で自律的に複製を行う物質です。私も15年ほど前にエイズワクチンとしてのDNAワクチンの開発に携わっていますが、当時からその能力は知られていました。注射針を使わずに肌に電気刺激で穴をあける高電圧注入法(エレクトロポレーション)という方法で接種すると、非常に強い免疫作用があります。ただ、インドのザイコブDは、針は使わないものの、高速噴射注射システムを使って接種する仕組みです。効果は3回接種してようやく60%ほど。DNAワクチンの欠点は高電圧注入法でないとあまり有効性が良くない点です。また、アンジェスが手掛けているワクチンも高電圧注入法とは異なるため、効果はあまり期待できません」