津波も引き起こす「空振」が健康被害をもたらすことはないのか

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 よく、低気圧がくると頭痛がする、関節痛が起こるという人がいるが、200パスカル程度気圧が上がり、その後元に戻ったとしてもそれで体調が悪くなるということはないだろう。

 では、噴火のそばにいたらどうだろう? 影響はないのだろうか?

「可能性としてゼロではないでしょうが、過去に噴火による空振で骨折した、内臓が破裂した、との報告はありません。そもそも空振で窓ガラスが割れるのは室内と室外の気圧差が大きくなるからで、人間には口や鼻などさまざまな腔があるし、密閉状態になりにくいからではないでしょうか」(前出の井口教授)

 事実、御岳山が噴火した際に被災して亡くなった人の中にも内臓損傷等は報じられていない。

 弘邦医院(東京・葛西)の林雅之院長が言う。

「空気の振動の被害というと騒音をイメージされる方がおられますが、これは継続して長時間浴びたときの被害で噴火による空振とは異なります。また、爆発物が近くで破裂したときに超音速の爆風がガスの充満した腔を圧迫し、腔がその後急速に膨張して剪断力および引裂力を発生させ、それにより組織が損傷して臓器が穿孔することはあります。しかし、噴火に伴う空振でこうしたことが起こるとすると、よほど噴火口の近くでなければ起こらないでしょうし、そうなるほど噴火口近くにいれば別の要因で亡くなっていて、遺体も見つからないのではないでしょうか」

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