病名が重すぎて…看取り士会代表・柴田久美子さん語るがんとの闘い

公開日: 更新日:

 まず、「家族に伝えられない」と思いました。当時は夫もいて、娘がいて、母や兄もいましたけれど、病名が重すぎて言い出せませんでした。

 でも、手術前日に主治医が病室まで来て、「明日の手術で声を失うかもしれません。でも命を救うためだから」と言われたとき、初めて「そんなに大変なことなんだ」と自覚したのです。それで、置いていってくれた睡眠導入剤を横目に「寝ている場合じゃない。みんなに“ありがとう”だけは言わなければ!」と、一晩中いろんな人に電話をしました。ただ、病気のことは伏せたので「こんな時間に何?」と怒られましたけどね(笑い)。周囲にがんだったことを伝えたのは、だいぶ後のことです。

 一通り電話をかけてから、最後に、私が憧れている故マザー・テレサに「もしも病気が良くなったら『看取りの家』をつくるので命を助けてください」とお願いをしました。

 もともと島に渡ったのは、お年寄りが容易に自宅での死を選べないことへの疑問からでした。病院がない離島ならそれがかなうと思ったのですが、独居だと100歳でも本土の病院に運ばれて亡くなる。せっかく離島まで来たのに、まるで力になれないことがとても大きなストレスでした。なので、看取りの家づくりは私の夢だったのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    岡本和真と村上宗隆のメジャー挑戦に“超逆風” 大谷バブルをブチ壊したMLB先輩野手の期待外れ

    岡本和真と村上宗隆のメジャー挑戦に“超逆風” 大谷バブルをブチ壊したMLB先輩野手の期待外れ

  2. 2
    ロッテ佐々木朗希「強硬姿勢」から一転…契約合意の全真相 球団があえて泥を被った本当の理由

    ロッテ佐々木朗希「強硬姿勢」から一転…契約合意の全真相 球団があえて泥を被った本当の理由

  3. 3
    佐々木朗希の今季終了後の「メジャー挑戦」に現実味…海を渡る条件、ロッテ側のスタンスは

    佐々木朗希の今季終了後の「メジャー挑戦」に現実味…海を渡る条件、ロッテ側のスタンスは

  4. 4
    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

  5. 5
    「あぶない刑事」100万人突破で分かった…舘ひろし&柴田恭兵“昭和のスター”の凄みと刑事役の人材不足

    「あぶない刑事」100万人突破で分かった…舘ひろし&柴田恭兵“昭和のスター”の凄みと刑事役の人材不足

  1. 6
    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

  2. 7
    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

  3. 8
    蓮舫候補に一発逆転の「神風」は吹くのか…7.7都知事選「一歩リード」の小池知事を猛追

    蓮舫候補に一発逆転の「神風」は吹くのか…7.7都知事選「一歩リード」の小池知事を猛追

  4. 9
    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

  5. 10
    猛チャージ石丸伸二候補に広がる危機感…広島からは「あんなぁ都知事に押し上げちゃいけん」

    猛チャージ石丸伸二候補に広がる危機感…広島からは「あんなぁ都知事に押し上げちゃいけん」