恐山と玉川温泉には“救い”を求める人々が集まっていた
恐山から約250キロ離れた秋田県に玉川温泉があります。
ここでは岩の間から黄色い硫黄が吹き出ています。以前訪ねた時は、がんの患者さんが訪れる温泉として有名で、テレビでも放送されたようです。「末期がんが治った」など、いろいろと話題になることから、足を運ぶ方がいるのだと思いました。
入浴できるお湯の温度では、がんは消滅しません。それでも、私が訪ねた時も、たくさんのがん患者さんかと思われる方が行列をつくって岩盤浴ができるテントに向かっている姿が見られました。
聞くところによれば、岩から微量の放射線が出ているらしいのです。これが、がんをやっつけるのだと言われているようです。
がんに効くとはとても考えられないのですが、ござやシートを包んで持ち、あるいは肩に掛けて、テントの方に向かう人、戻ってくる人の列がありました。楽しんでいるのなら良いのですが、頭を下げて前かがみになっている方々は悲愴な気持ちでおられるのではないか……と複雑な思いに駆られました。
駐車場に止まっているクルマのナンバーを見ると、全国各地から訪れていることを示していました。