前立腺がんの疑い…「腫瘍マーカーPSAが高い」と言われたら知っておきたいこと
男性のがんの中で最も多い前立腺がんは、早期発見、早期治療で完治を目指せる。ただ、前立腺がんは早期では自覚症状がほぼない。早期発見のために知っておくべき最新情報は? 「佐々木クリニック泌尿器科芝大門」の佐々木裕院長に聞いた。
早期発見に役立つのがPSA検査だ。
「PSAは前立腺細胞内にあるタンパク質で、がんができて細胞が壊れると血液中に漏れ出す。その状況で採血をするとPSAが高値になります」(佐々木院長=以下同)
ただし、PSAは前立腺肥大症、前立腺炎でも高値になる。PSAが高値になると再度PSA検査を行い、やはり高値であれば精密検査へ進む。
まず行うのは、採血、尿検査、エコー、MRI。かつてはPSAが高値であれば、生検が行われた。前立腺に数カ所針を刺して組織を採取し、顕微鏡で調べる検査だ。しかしPSAは前立腺がん以外でも高値になるので、先に前立腺肥大や前立腺炎の有無を調べる。
「PSAグレーゾーン(4~10ng/ミリリットル)では、『プロステートヘルスインデックス(phi)』といった新しい採血検査を行う場合もあります。PSA単独よりは感度が高く、保険診療で行える場合があります。さらに、前立腺がん診断において、近年、重要視されているのがMRIです。単に前立腺がんを検出するだけでなく、『臨床的意義のあるがん』を描出できるところが、従来より大きく進歩した点です」