ダニ媒介性脳炎は致死率が20%以上…アウトドア好きは知っておきたい
こう言うのは、ダニ媒介性脳炎に詳しい新潟市民病院総合診療内科副部長の児玉文宏医師だ。
44歳男性は2016年7月14日、札幌市近郊のやぶで左腹部をマダニに噛まれ、翌15日にクリニックを受診。22日、腹部から太ももにかけての違和感が現れ、その翌日には38度の発熱、筋肉痛、関節痛も出現。25日、マダニを媒介して感染するライム病による脊髄神経根炎を疑われ、児玉医師が当時在籍していた市立札幌病院に入院。27日には呼吸筋障害で呼吸器不全状態となり人工呼吸管理を開始、28日には全身性けいれんを発症して8月13日には死亡となった。
■国内に広く分布している可能性
ダニ媒介性脳炎は世界で毎年1万~1万5000件の発生が報告されているものの、日本ではほとんど報告がなかった。
「感染症法で届け出が必要となっており、1例目の報告が1993年で、2018年までで5例。そして今年2例の発生が報告されました。7例とも北海道で発生しており、しかし5例目以降しばらく報告がなかったことから、北海道で感染症を診る医師の間でも、ダニ媒介性脳炎の認識がかなり薄れていたのです」(児玉医師)