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田中幾太郎ジャーナリスト

1958年、東京都生まれ。「週刊現代」記者を経てフリー。医療問題企業経営などにつ いて月刊誌や日刊ゲンダイに執筆。著書に「慶應幼稚舎の秘密」(ベスト新書)、 「慶應三田会の人脈と実力」(宝島新書)「三菱財閥 最強の秘密」(同)など。 日刊ゲンダイDIGITALで連載「名門校のトリビア」を書籍化した「名門校の真実」が好評発売中。

東大入試に異変…駒場東邦が理Ⅲ合格者数で開成と麻布を上回る 女子の割合も過去最高に

公開日: 更新日:

 今年の開成の東大合格者は146人(速報値、以下同)。昨年から47人も減らしたものの、定位置は守った。これで42年連続でトップを快走していることになる。麻布は昨年の64人(9位)から少し持ち直し78人。毎年判明が遅れる筑波大学付属駒場の数字がまだ出ていないので順位は確定していないが、麻布は4位と推定され、69年連続トップ10入りを果たしている。

「前年振るわなかった年は浪人組が奮起し、いい数字が出ることが多いのですが、思ったほど伸びなかった」と残念がるのは麻布の元教師。開成も麻布も以前ほどの勢いはないように映るが、上位陣に驚くほどの大きな変化はなかった。

「トップ20を見ても、いつもある名前が並んだ。強いて注目点を挙げれば、ここのところ躍進を続ける駒場東邦が最難関の理Ⅲに5人の合格者を出したことくらい」(大手予備校スタッフ)

■「女子合格者が増えた」

 灘の理Ⅲ合格者15人には遠く及ばないが、駒場東邦の数字は開成と麻布の3人を上回った。

「今回の最大のトピックは順位より、女子合格者が増えたこと」と予備校スタッフは話す。女子の東大合格者の割合は22.7%。推薦等を除く一般入試でも21.8%で、いずれも過去最高だった。

「一般入試志願者数も22.5%と過去最高で女子の意識が変わってきたことを示している。今後も増加傾向は続くと見ています」(同)

 数年前、私立医大の入試で女子に不利になるように得点を操作していたことが発覚し大問題になった。

「女子がそれだけ受験に強いということ。彼女たちが東大入試でも本腰を入れだしたら、勢力地図が大きく変わる可能性が高い」(同)

 都立高の衰退以降、東大入試戦線では男子中高一貫校が強い時代が続いていたが、近年は共学の健闘ぶりが目立つ。その1番手は1983年に開校した渋谷教育学園幕張。2012年に初めて東大合格者トップ10入り。以降、今年まで12年連続トップ10を守っている。

「麻布OBの田村哲夫理事長が麻布の男女共学版をつくろうと設立した。いずれは麻布を追い越すと公言しています」(同校関係者)

 姉妹校の渋谷教育学園渋谷の前身は女子校だったが、90年代後半に共学化。現在は東大合格者トップ20の常連となっている。07年に女子校から共学に踏み切った広尾学園も進学校として実績を積んでいる。

 一方、男子校でも共学化の動きが目立っている。早稲田実業(02年)、法政大学第一(07年)、法政大学第二(16年)……。一昨年には芝浦工業大学付属が共学化した。

「大半は大学付属校ですが、今後は独立した男子中高一貫校の中からも共学化するところが出てくると予想しています」(予備校スタッフ)

 ジェンダーレスという考え方が当たり前になる中、女子校や男子校は過去の遺物になりつつあるのかもしれない。



◆田中幾太郎の著書「名門校の真実」」(1540円)日刊現代から好評発売中!

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