岸田政権下で高齢者イジメが加速…「医療と介護」自己負担増1兆円超で痛みを推し付け、年金減らす
政府の「全世代型社会保障構築会議」は5日、「異次元の少子化対策」の財源確保に向けた社会保障改革の工程素案を示した。
2028年度までに実施を検討するメニューが盛り込まれたが、具体性は乏しかった。
「内閣支持率の低迷を気にして、国民の痛みにつながる財源論は避けた」(霞が関関係者)とみられるが、負担増のターゲットが高齢者となることだけは確実。医療と介護の自己負担を増やし、1兆円超の“痛み”を押し付けるハラだ。
すでに財界が踏み込んだプランを掲げている。11月に経済同友会は社会保障改革への意見書を公表。その中で75歳以上の後期高齢者の医療費負担「2割」への引き上げを提示し、歳出抑制効果は4200億円に上るという。
現行は後期高齢者の約70%が1割負担。75歳以上の人口は約2000万人(今年9月15日時点)だから、1400万人が対象となり、単純計算で1人あたり年平均3万円の負担増となる。
さらに、同友会は介護利用者の負担を原則2割にすれば、6700億円の抑制効果になると試算。医療費負担増と合わせて、1兆円突破だ。厚労省によると、22年度の介護サービス利用者は650万人で、その多くは1割負担だ。負担倍増なら、年間数万円のアップは避けられない。
「医療と介護の1割負担は、所得が少ない高齢者でも安心して利用できるためです。そこにメスを入れるのは残酷です。物価が上がり、生活が苦しくても、高齢者はバイトすら困難。節約のため、受診を控える高齢者も出てくるはずです。生きる権利を奪うものです」(経済ジャーナリスト・井上学氏)