被災地への「賞味期限切れ食品」送付は『嫌がらせ』か『善意』か問題…解決策は?
「大半の人は、嫌がらせの気持ちはなく、善意だからです。善意とは主観的なもので、一種の自己実現。自分が良いことをしているかどうかなので、相手が何を望むかや迷惑にならないかを慮れない人は一定層います。彼らは『自分は賞味期限から数年経っていてもありがたく食べる』とか、『気持ちを込めた千羽鶴は嬉しい』と自分の尺度で考えてしまう。悪気がないので、送るなというのが難しいのです」
実際、SNSでは《被災した時に賞味期限切れのものもらっても普通に食べるけど…》《被災してるのに新品がいいとか贅沢な話だ》といった意見を少なからず目にする。一方で、頭ごなしに迷惑だと言ってしまうのも逆効果だという。
「厄介なことに、『善意』を無下にされると怒りに変わるケースは少なくありません。クレームや嫌がらせに繋がるリスクがあるので、災害時には国や自治体が現場に迷惑にならないよう、被災地とは別に個人からの寄付を集積する組織を立ち上げるか、委託して、善意はすべて第三者機関が受け取ったうえで、処分も含めて仕分けさせるのが良いのでは。または、個人からは募金のみ受け付ける仕組みにし、宅配業者が被災地宛てへの宅配を受け付けないようにするか…しかありません。メディアなどで『これはダメあれはダメ』と声をあげすぎると、逆に気を遣えるタイプの人が、考えすぎてしまって寄付をためらって、必要とされる物資を送る機会を失ってしまうこともあるのです」(前出の関修氏)
地震に限らず、自然災害の多い日本。必要な人に必要なものが届く仕組みをつくるのも、悩ましい問題だ。