被災地への「賞味期限切れ食品」送付は『嫌がらせ』か『善意』か問題…解決策は?

公開日: 更新日:

「大半の人は、嫌がらせの気持ちはなく、善意だからです。善意とは主観的なもので、一種の自己実現。自分が良いことをしているかどうかなので、相手が何を望むかや迷惑にならないかを慮れない人は一定層います。彼らは『自分は賞味期限から数年経っていてもありがたく食べる』とか、『気持ちを込めた千羽鶴は嬉しい』と自分の尺度で考えてしまう。悪気がないので、送るなというのが難しいのです」

 実際、SNSでは《被災した時に賞味期限切れのものもらっても普通に食べるけど…》《被災してるのに新品がいいとか贅沢な話だ》といった意見を少なからず目にする。一方で、頭ごなしに迷惑だと言ってしまうのも逆効果だという。

「厄介なことに、『善意』を無下にされると怒りに変わるケースは少なくありません。クレームや嫌がらせに繋がるリスクがあるので、災害時には国や自治体が現場に迷惑にならないよう、被災地とは別に個人からの寄付を集積する組織を立ち上げるか、委託して、善意はすべて第三者機関が受け取ったうえで、処分も含めて仕分けさせるのが良いのでは。または、個人からは募金のみ受け付ける仕組みにし、宅配業者が被災地宛てへの宅配を受け付けないようにするか…しかありません。メディアなどで『これはダメあれはダメ』と声をあげすぎると、逆に気を遣えるタイプの人が、考えすぎてしまって寄付をためらって、必要とされる物資を送る機会を失ってしまうこともあるのです」(前出の関修氏)

 地震に限らず、自然災害の多い日本。必要な人に必要なものが届く仕組みをつくるのも、悩ましい問題だ。

■関連キーワード

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 暮らしのアクセスランキング

  1. 1

    カトパン夫の2代目社長は令和の“買収王”? 食品スーパー「ロピア」の強みと盲点

  2. 2

    国民民主党「“年収の壁”178万円に引き上げ」早くも腰砕け…識者が説く財源不足の一気解決策

  3. 3

    兵庫県議会は斎藤元彦知事への不信任案提出…パワハラ男の「心の闇」を精神科医が分析

  4. 4

    清原和博次男の甲子園出場で注目「慶応幼稚舎」には“大物芸能人”の子女が今年も続々合格

  5. 5

    マイナ保険証「解除」受け付け開始も申請は書面のみ…政府ゴリ押しのツケが保険者・被保険者に

  1. 6

    悠仁さまは学習院ではなぜダメだった?大学進学で疲弊する宮内庁職員「もうやめたい」と悲鳴

  2. 7

    慶応幼稚舎「芸能人の子供が続々合格」の理由 入試の絵画問題は“うまさ”より「独創性」

  3. 8

    国民民主・玉木代表「野党結集」裏切りの歴史…浮かれる政局キーマンは政権交代の足を引っ張ったA級戦犯

  4. 9

    マイナ保険証への一本化に医師らが撤回要請 官僚はタジタジ回答、場内から総ツッコミ!

  5. 10

    財務省は国民民主の「年収の壁」引き上げに後ろ向き…旧民主党政権時と同じ“ネガキャン”展開に国民うんざり

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平を激怒させたフジテレビと日本テレビ…もっと問題なのは、情けない関係修復の仕方だ

  2. 2

    ソフトB悪夢の本拠地3連敗「2つの敗因」…26イニング連続無得点よりも深刻なチーム事情

  3. 3

    石井琢朗コーチが三浦監督との《関係悪化説》を払拭、「ピエロ」を演じたCS突破の夜

  4. 4

    二宮和也「七五三」隠し撮りに激怒の覚悟…入学式や運動会にも厳しい視線、あの俳優夫婦も警告の過去

  5. 5

    旧ジャニーズ“復活”で女帝復権か…米国でスルー状態のTravis Japanを日本メディアが一斉ヨイショの裏

  1. 6

    あの大谷翔平が苦々しい顔でインタビュー拒絶…フジテレビと“愛車無断公開犯”元木大介氏の先輩づらに嫌悪

  2. 7

    岡田阪神“強制終了”は「事実上の解任」…体調不良で異例の退任会見ナシなど誰も信じない

  3. 8

    いまや大谷ドジャースこそ「悪の帝国」だ…カネ&人気&裏技フル活用でタンパリング疑惑まで

  4. 9

    大谷翔平は来季副収入100億円ガッポリ、ド軍もホクホク! 悲願の世界一で証明した圧倒的経済効果

  5. 10

    グリズリーズ河村勇輝に試練!ルーキーが直面する超過酷な伝統「雑用係」衝撃の中身