著者のコラム一覧
内田正治タクシードライバー

1951年埼玉県生まれ。大学卒業後、家業の日用品、雑貨の卸会社の専務に。しかし、50歳のときに会社は倒産。妻とも離婚。両親を養うためにタクシードライバーに。1日300キロ走行の日々がはじまった。「タクシードライバーぐるぐる日記」(三五館シンシャ)がベストセラーに。

(22)ドライバーとお客は「一期一会」だが…「もう一度会いたい」と願う出会いもあった

公開日: 更新日:

 別に敬語を使えとは言わないしフランクな語り口であっても一向に気にしないが、「初対面の人間にそんな口のきき方をするか?」とあきれてしまうようなお客もいた。

■「これから、北極に行く」と言った女性写真家

 その一方で「できることなら、この人をもう一度乗せてみたい」と思わせてくれるお客もいた。

 ある日のこと。東京・荒川区から無線客を乗せた。指示された場所に到着すると、60代とおぼしき女性が待っていた。大きなトランクが2つ。それとは別に2つの大きなリュック。「羽田空港まで」という。荷物を載せるために私はすぐにクルマを降りた。「すごい荷物ですね。大丈夫ですか?」と私は尋ねた。すると「両手にトランク、あとは背中と前に2個。慣れているから」と。私が「失礼ですが、どちらまで?」と尋ねると「カナダ経由で北極まで」と平然と答える。

 クルマを走らせながら話を聞いたが、北極は「今回が3度目」だという。この女性のことを私は寡聞にして存じ上げなかったが、話の様子から彼女は著名な写真家なのかもしれない。「テントで1週間、1人で寝起きしながら、写真を撮るのよ」とのことだった。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「餅」で尿意ストップ! 映画の途中にトイレで席を立ちたくないなら

  2. 2

    元横綱白鵬「相撲協会退職報道」で露呈したスカスカの人望…現状は《同じ一門からもかばう声なし》

  3. 3

    永野芽郁は映画「かくかくしかじか」に続きNHK大河「豊臣兄弟!」に強行出演へ

  4. 4

    阿部巨人が企む「トレードもう一丁!」…パ野手の候補は6人、多少問題児でも厭わず

  5. 5

    永野芽郁&田中圭の“不倫LINE”はどこから流出したか? サイバーセキュリティーの専門家が分析

  1. 6

    天皇一家の生活費360万円を窃盗! 懲戒免職された25歳の侍従職は何者なのか

  2. 7

    気持ち悪ッ!大阪・関西万博の大屋根リングに虫が大量発生…日刊ゲンダイカメラマンも「肌にまとわりつく」と目撃証言

  3. 8

    広島新井監督がブチギレた阪神藤川監督の“無思慮”…視線合わせて握手も遺恨は消えず

  4. 9

    自民にまた「政治とカネ」問題!太田房江氏に選挙買収疑惑、参院選公認めぐり大阪でグチャグチャ泥仕合

  5. 10

    イケイケ国民民主党に陰り? 埼玉・和光市議補選は玉木代表が応援も公認候補まさかの敗北