パワーカップルが組む「ペアローン」の是非…23区内新築マンション1億円超えで議論の的に
■“資産価値落ちない信仰”の落とし穴
「ペアローンで揉める最大の理由が離婚ですが、一方が出ていく際、実家が資産家でない限り、相手の持ち分を買い取るのは容易ではないでしょう。そうなると売却することになりますが、売却価格が残債を上回る、もしくは同額であれば、この問題は解決します。リーマン・ショック以降、購入時より高い価格で売却できた人がザラにいる中、今後も同じ状況が続く保証はありません」
購入時より資産価値が下落し、売却価格が残債を下回れば、持ち出しで返済しないといけない。この発想が欠如しているというのだ。さらに離婚のほかに病気や失業、金利上昇のリスクもある。
「建物が経年劣化することから、以前は不動産が購入時より高く売れると考える人は少なく、夫の属性だけでローンを組むのが普通でした。妻がフルタイムで働いていても、その分を預貯金に回すなど余力を残していることが多かった。夫婦共有にすることで購入可能な上限価格は上がりますが、その分、生活に余力がなくなり、今後、金利が上昇した際のリスクへの対応は難しいと考えます」(長谷川高氏)
もはや資産形成の一環となっているマンション購入。ペアローン組の思惑は吉か凶か。