YKK 猿丸雅之会長(1)大企業では極めて珍しい定年制度廃止に踏み切った理由
「もともと当社の人事制度は成果・実力主義で、年齢・性別・学歴・国籍にとらわれないで評価するという方針で公正な人事制度を運用してきました」
以前は65歳定年制で、再雇用も行っていた。
「でも、そのほうがむしろ難しさがあるように感じます」
給料が減少して仕事の役割も変わるため、モチベーションが低下する者は少なくない。若い社員から見れば扱いにくいという側面もある。
定年廃止により、会社が線を引くのではなく、自分でキャリア形成や辞め時を決められるようになった。
本人が希望して会社の求める役割とマッチングすれば、何歳でも給与水準や役職を維持しながら正社員として働くことができる。
一方で、「後進に技術を伝えることに専念する」とか、「週数日の勤務」を希望するというケースも考えられる。
ただ、会社にぶら下がっていられるという意味ではない。
「自律がないと、この制度は成り立っていきません。定年廃止というのは65歳からではなく、ずっと前の段階から積み重ねてきた努力や成果が評価されるべきということです」