エルピーダメモリ(上)坂本幸雄元社長が76歳で死去…元祖“日の丸半導体”経営者の栄枯盛衰
坂本氏は批判なんかどこ吹く風。「不本意な敗戦 エルピーダの戦い」(日本経済新聞出版刊)を出版。本書で「自分の経営は間違っていなかった」と自画自賛した。被害者の怒りは一層、増幅した。
16年1月4日放送の「プロフェッショナル 仕事の流儀」(NHK)は、同番組放送開始10周年の特別番組だった。「よくも悪くもいろいろあった10年。挑戦を続けるプロたちを描く」というテーマで放送され、坂本氏が登場した。
エルピーダは経済産業省の官僚のインサイダー疑惑の舞台になった会社でもある。12年2月27日の倒産会見で坂本氏は「(メディアが)どこからか聞いてきた話をすぐに記事にしたことが、どれだけ我々の提携交渉を妨害したことか」と八つ当たりした。本来なら成功したはずの提携交渉が進展しなかったのはマスコミのせいだと言わんばかりの発言に、倒産会見の会場から失笑が漏れた。
報道によって「提携がダメになった」というのは、天に唾するようなものだったからである。マスコミをいいように使おうとして、それに失敗した中年経営者の哀れな姿が、くっきりと浮かび上がった。 =つづく