1ドル=160円台突入を指をくわえて傍観か…34年ぶり円安水準で問われる財務省の姿勢と曖昧説明
アジア市場では1990年4月以来、34年ぶりの円安水準となる1ドル=160円台に急落した29日の東京外国為替市場の円相場。午後になって154円台へと約6円も急反発したことから、市場では政府、日銀が為替介入に踏み切ったとの観測が広がった。
一夜明けた30日午前の円相場は、1ドル=156円台前半に上昇したものの、神経質な動きが続いている。円相場は今年1月初旬時点で1ドル=140円台だったから、この4カ月で約20円も円安が進んだわけだ。
ゴールデンウィークを利用して海外旅行に出かける観光客からは「食料を持参します」「現地では何も買わない」といった、ため息交じりの声も漏れているが、SNS上で上がり始めたのが《結局、財務省は何をやっていたのか》《財務省は傍観していただけではないのか》といった投稿だ。
アベノミクスによる異次元金融緩和を続けてきた日本と、緩和策を徐々に修正し、利上げを行ってきた米国。ここ数年の日米の金利差は広がるばかりで、円安ドル高の傾向が続いていたのは周知の事実だろう。円安進行による物価高の影響を懸念する声も強まり、国会質疑では緩和策の見直しや為替に関する政府の姿勢が問われてきたのだが、政府や財務省が繰り返してきたのが「高い緊張感」という曖昧な言葉だった。