「十八親和銀」は支店の上に賃貸寮を併設…金利復活で変わる地銀の“店舗戦略”
地銀は長引く超低金利下で実店舗を「コストセンター」と見なして削減数を競ってきた。21年には支店統廃合などにより全国で550を超える店舗が消滅。ペースは落ちたものの、23年も240以上の店舗が姿を消している。
しかし金利のある世界では預金集めが収益拡大のカギとなる。貸出金の「原資」として利ザヤを稼ぎ出すもととなるからだ。そのためには「顧客との接点をつくり出す場として実店舗の存在は欠かせない」と大手地銀幹部。このまま店舗縮小を続ければ「ネット銀行などにどんどん預金が流出してしまいかねない」との危機感も募らせる。
■相次ぐ店舗戦略の見直し
店舗戦略見直しの動きは実際、もう始まっている。九州地盤の西日本シティ銀行では昨年、福岡市に26年ぶりとなる支店を新規開設。熊本県本拠の肥後銀行は来年、合志市に18年ぶりとなる出店を決めた。また山陰合同銀行は当分の間、店舗削減を取りやめる方針だ。
新規顧客を獲得できるうえ、寮の利用者からの賃貸料収入で、店舗運営コストの一部も賄える──。「十八親和銀方式」の店舗開発は今後、勢いを増していくかもしれない。