著者のコラム一覧
重道武司経済ジャーナリスト

1957年鳥取県倉吉市生まれ。84年フジサンケイグループ傘下の経済紙「日本工業新聞」(現フジサンケイビジネスアイ)の記者となり、千葉支局を振出しに鉄鋼、自動車、総合電機、財界、金融、エネルギー(電力・石油・ガス)などの業界を担当。2000年外資系通信社に転じた後、02年からフリーに。得意分野は通信社時代を含めて在籍足掛け7年にも及んだ日銀記者クラブ時代に人脈を培った金融。自動車業界にも強い。

高速船2社どうなる? JR九州高速船は不祥事隠蔽、4期連続赤字の瀬戸内汽船は“逆張り”投資で大博打

公開日: 更新日:

 海運業界関係者らの間で今、2つの高速船運営会社の行く末に注目が集まっている。

 浸水していることを隠蔽して運航を続けていたJR九州の子会社、JR九州高速船(福岡市)と、債務超過に陥って経営難に直面している瀬戸内海汽船(広島市)だ。

 JR九州高速船が運航しているのは博多港と韓国・釜山港を結ぶ「クイーンビートル」。船体に亀裂が生じて浸水を確認しているにもかかわらず、必要な検査や修理を怠り、運航を繰り返していたというのだから、その安全意識の欠如ぶりには呆れ返る。

 しかも今年8月上旬の抜き打ち監査で不正をあぶり出した国土交通省によれば亀裂・浸水は22年11月の就航以来、3度に及び、当時の経営トップの指示などで「航海日誌の偽装まで行われていた」という。

■長期運休は必至

 無論、国交省の怒りは凄まじく、9月中旬には海上運送法に基づく同社に対する安全確保命令と、全国初となる安全統括管理者(取締役企画部長)及び運航管理者(同運航部長)の「解任命令」で応じた。10月末までに再発防止策などの報告を求めるが、JR九州高速船の保有船舶はクイーンビートル1隻だけで、長期運休を強いられるのは必至。JR九州内部では「もはや、他の子会社と再編して処理するしかない」との声も飛ぶ。

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