未達なら1年で打切り 盛田ファンド「選考とノルマ」の壮絶
盛田正明氏を中心に坂井利郎、吉井栄、丸山薫、村上武資の理事4人が第1次選考を担当。現場を預かる2人の理事は元プロで、丸山氏は伊達公子の全盛期を支え、村上氏はロンドン五輪に男子代表3人を送り込んだ実績を持つ。はっきり自己主張する個性派だから選考は間違いなく厳格だ。
まず全国小学生選手権、全国選抜ジュニア大会、全日本ジュニア選手権などで上位4位までに入った選手からの公募で第1次選考。公募は2013年に公益財団法人になってからで、10月にその中からIMGのコーチを交えた第2次選考でふるいにかけ、翌年、現地フロリダの短期キャンプに参加させて最終決定する。
MMTFの特徴は、奨学制度が1年区切りという点だろう。9月から翌年5月までを1期とし、その間に課せられたノルマを達成できなければ奨学金は打ち切られる。村上氏はこう話す。
「私と丸山理事でランキング、大会のグレードなど相当に厳しい課題を4つ与えています。そのうちの2つまで達成できなければ打ち切りです。望月君、川口夏実さん(17=全豪オープンジュニア女子ダブルス優勝)はそこをクリアしています」
■5年間のノルマをクリアしたプロは2人
2000年にスタートして1人も選ばれなかった年もあり、これまで渡米したほぼ30人の中でノルマを5年間クリアしてプロになったのは錦織と西岡の2人だけだ。選手の成長速度は一様ではないが「打ち切られた選手も、経験を次のステップに生かして欲しい」という盛田氏の理想は伝わっているようだ。内山靖崇は26歳で初めてグランドスラムの予選を突破し、ツアーで最も身長の低い(155センチ)奈良くるみは世界ランク32位まで上がった。2人とも、MMTFの打ち切られ組である。