Jリーグがリモート初開催「茶話会」へのちょっとした失望
川崎Fが札幌に負けて今シーズンのリーグ戦で2敗目!を喫した翌11月4日。J2リーグの11試合が行われた。
味の素フィールド西が丘での東京Vー金沢(午後6時キックオフ)の試合を取材したが、シーズンの深まりとともにチームの完成度が高まっているのを実感した。
そのことは取材した両チームにとどまらず、J2チームの多くに当てはまる。今シーズンは新型コロナウイルスの影響でJ3への降格がなく、(勝敗よりも)攻撃的なスタイルを貫いたことで生まれた好結果と言えるかもしれない。
板橋区内の自宅に戻り、取材ノートの整理などをやっていた午後10時15分過ぎのこと。Jリーグからメールが届いた。
連絡事項などの自動配信ではない。広報からのメールだったので早々に開いてみた。ルヴァンカップ決勝(11月7日)の開催について当該チームのFC東京と柏、それにJリーグが午後10時30分から、合同会見を開催するというではないか。
すでに柏のネルシーニョ監督を始め、選手並びにチーム関係者が新型コロナウイルスに感染しているというニュースは報じられており、ルヴァン杯の決勝が無事に開催されるのか、危ぶまれていた。結果はその後の報道通りだ。柏にクラスター(選手、スタッフの13名が感染)が発生したことで延期となった。
FC東京は11月18日の仙台戦の後、ACL(アジア・チャンピオンズリーグ)出場のためにカタール・ドーハに移動する。仮にグループステージで敗退すれば、帰国してから2週間の自主隔離を経ても、2020年中に決勝戦を開催することは可能かもしれない。
しかしトーナメントに勝ち進めばルヴァンカップの年内開催は微妙となる。もしもACLの決勝(12月19日)に進出した場合、ルヴァンカップの決勝は2021年開催となる可能性もある。
こちらは今後の推移を見守るしかないだろう。
■堅苦しくなく提言を…で配られたのは176Pの超ブ厚い本
話は変わりーー。
10月28日、Jリーグは第1回「茶話会」をリモートで開催した。Jリーグの黒田本部長の挨拶によると「ティーパーティーということで堅苦しくなく、双方向でメディアの皆さまからもご提言をいただきたい」ということだった。
茶話会では、Jリーグが掲げている「2030年のフットボールビジョン」の説明がなされ、アカデミーを中心とした選手、指導者のエリート育成コースの立ち上げなどが、当プロジェクトの主だった趣旨だった。
2020年2月に開催された「アカデミーダイレクター」に参加したJ全クラブの実行委員、経営幹部、契約担当者らには「A4版・176ページもの“ブ厚い”」(担当者)ビジョン&ストラテジーブックが配布されたそうだ。
身近な本で探してみると176ページというのは、サッカーダイジェストの出した今シーズン用選手名鑑(大型判)J1の18チーム~J2リーグ5位の甲府までに相当する。いかに厚みがある本なのか、想像がつくだろう(あくまでリモートでの参加なので実物を見たわけではない)。
いずれにしても、気楽に話せるテーマでもないし、参加したサッカー担当記者からもほとんど質問は出ず、静かに「茶話会」は終わった。
正直なところ、ちょっとガッカリした。「お茶を飲みながらサッカー談義に花を咲かせる会」ではなくて<マジメな内容>だったからである。がっかりしたのには個人的な事情もある。
「茶話会」と聞くとJリーグ創設に尽力した木之本興三さん(元Jリーグ専務理事。日本サッカー協会常務理事。2002年日韓W杯日本選手団の団長など歴任。2017年1月に68歳で逝去)のことを思い出す。
JSL(日本サッカーリーグ)の事務長を務めていた木之本さんは1984年に加盟していた企業チームの関係者、マスコミ関係者たちと「茶話会」を立ち上げたからである。当時、まだJリーグの<Jの字>も存在しなかったし、日本サッカーがプロ化されるなんて「夢のまた夢」と思われていた時代だった。
どんな時代と言っていいのか、日本代表に当てはめてみると森孝慈ジャパンが1984年ロス五輪のアジア最終予選でタイ、マレーシア、イラク、カタール相手に4連敗(今なら考えられない結果である)を喫し、本大会出場を絶たれている。=この項つづく