田中将の楽天復帰が決定…脱スプリットで“原点回帰”なるか
例えば2013年、24勝0敗と圧倒的な成績を残した楽天最終年だが、あるデータによれば、全投球における変化球の割合はスライダーが約24%だったのに対し、スプリットは18%。この比率がメジャーに行って逆転した。
■スプリットという「麻薬」
ヤンキースでは、直球の割合をスプリットが上回ることさえあった。スプリットは「麻薬」のようなものだ。特に、肩や肘に負担がかかると敬遠されるメジャーでは投げ手が少なく、それだけに向こうの打者に対しては威力が増す。投手からすれば、日本以上に簡単に空振りが取れるから、どうしてもこれに頼り過ぎてしまう。
しかし、コントロールしにくい球種で、低めに落ちてくれれば三振を取れるものの、高めに浮けば一発長打を食らう。諸刃の剣と分かっていても、決まったときの効果が絶大だから、やめられない。「麻薬」と言うのは、そういう意味である。
エンゼルスの大谷翔平もそうだ。2人はともに右肘を故障した。スプリットが特段、肩肘に負担がかかるとは思っていないが、スライダーとは違って高校時代から投げ慣れていた球種ではないだけに、異常を来す遠因になった可能性はある。
楽天に戻ってくるのだから、メジャー挑戦前の投球を取り戻す、いい機会である。本来の武器であるストレートとスライダーにもう一度、磨きをかける。原点回帰は、日本に残ろうが米国に戻ろうが、長くマウンドに立ち続けるためにマイナスになることはない。