臨時コーチは「いいとこ取り」…今年は元大物選手が4人も
プロ野球のキャンプ報道を見ていると、「臨時コーチ」の文字がやたらと目につく。今年は特にそうだ。ヤクルトに“ID野球の申し子”古田敦也、阪神に“バントの神様”川相昌弘、中日に“ミスタードラゴンズ”立浪和義、ロッテには“平成唯一の三冠王”松中信彦が参加。球史にその名を残す大物が熱心に選手を指導するさまは、メディアにとって格好のネタになるからだろう。
彼らの経験、技術が選手に還元されればいいと思うが、既存のコーチは複雑ではないか。プロ野球選手はシーズンでの成績がすべてで、キャンプはその準備段階に過ぎない。投手はブルペンで気持ちよく腕を振り、打者はフリー打撃で気持ちよく打球を飛ばす。なんのプレッシャーもかからない今の段階で正直、コーチの出番はない。
サバイバル競争となる実戦に入り、相手投手や打者と対峙したときに、いかにして練習通りの力を発揮させてやるか。コーチの仕事はそこに集約されるが、臨時コーチはその最も大事なことには関わらない。アドバイスをして一時的にでも選手の調子が上向けば、臨時コーチのおかげ。シーズンで結果が出なくても、責任を追及されることはない。結果によってユニホームを脱がされる既存コーチにしてみれば、本音は「臨時コーチはいいとこ取り」だろう。