不甲斐ない朝乃山が象徴…今の力士に足りないのは創意工夫
結局、今場所も照ノ富士の独走か。
開幕前は4大関がしのぎを削るかと思われた大相撲5月場所。しかし、大関に復帰したばかりの照ノ富士以外の3人は2日目に仲良く黒星。14日時点で全勝は照ノ富士のみとなり、1敗で追う貴景勝はまだしも正代は2敗、朝乃山は早くも3敗と不甲斐なさばかりが目立っている。
もちろん、コロナ禍で出稽古ができない事情もあるだろう。照ノ富士が所属する伊勢ケ浜部屋は関取が5人。和製大関3人の中では期待の高い貴景勝の常盤山部屋は同4人と、いずれも稽古相手には困らない。一方、時津風部屋は正代を除けば関取は十両の豊山のみ。朝乃山に至っては自身が高砂部屋唯一の関取だ。
しかし、古株の角界OBは「工夫次第で何とかなるものです」と、こう続ける。
「例えば“土俵の鬼”と呼ばれた初代若乃花。入門当時は二所ノ関部屋だったが、師匠(元前頭大ノ海)の独立で花籠部屋に移籍。当時の花籠部屋は弟子もロクにいなかったが、若乃花は稽古相手に自分が苦手としていた右四つで組ませてから立ち合いを開始したり、土俵際に追い詰められた状況から相撲を取るなど工夫していた。当時でも小兵(180センチ弱、100キロ前後)だった若乃花が横綱に出世できたのも、そうした稽古のたまもの。得意の右四つになれないと慌てる朝乃山などは、特に頭を使うべきです」
元横綱大乃国の芝田山親方も「稽古で30番、50番やっても汗を流しただけでは意味がない」と話していた。
コロナ禍でも日頃から稽古をしている力士と、そうでない力士の差が出ているだけなのだ。