東京五輪サッカー代表DF吉田麻也「無観客五輪の再考を」発言の願いを叶えたい
「国民が見に行けないというのは一体、誰のための五輪なのか。もう一度、真剣に考えてほしい」
17日のU-24スペイン戦(神戸)の後、U-24日本代表キャプテン吉田麻也(サンプドリア)が、批判覚悟で主張した無観客五輪再考への機運は日に日に高まっている。
7月22日の初戦・南アフリカ戦(東京)までに状況が変わるとは言い難いが、選手たちの声は切実だ。
実際、Jリーグやプロ野球は昨夏から有観客試合を実施。クラスター発生事例がないことは実証されている。エビデンスに基づかない決定への違和感は拭えない。
「どんな時でも想いは共に、日本の空に金メダルを掲げるぞ」
スペイン戦後に行われた壮行セレモニー。スタンドにサポーターの願いが詰まった横断幕が掲げられた。
肝心の本大会では「コロナ感染対策」を理由に横断幕はひとつも掲示できない。
ファンの歓声がないだけでも選手にとっては辛いが、雰囲気を盛り上げる横断幕や国旗さえもないガランとした空気の中、試合をしなければならない。
その現実がやりきれないという気持ちもあって、吉田は発言せずにはいられなくなったのだろう。
五輪開催が危うくなってからというもの、アスリートに対して冷たい視線が向けられることは少なくなかった。
白血病を克服し、東京五輪切符を手にした競泳女子の池江璃花子に出場辞退を迫る書き込みがSNS上でなされたのを筆頭に、何かにつけて選手は批判の的になりがちだった。
U-24日本代表にしても「無観客は残念」「家族が来られないのは悲しい」と選手が素直な胸を内を吐露するたびに「運動会や修学旅行が中止になっているのに五輪が開かれるだけで感謝しろ」「戦ってるのはお前らだけじゃない」といった心ないコメントが寄せられていた。
ひと際、責任感が強い吉田は、こうした現状にも我慢がならなかったのだろう。