著者のコラム一覧
元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

東京五輪サッカー代表DF吉田麻也「無観客五輪の再考を」発言の願いを叶えたい

公開日: 更新日:

「国民が見に行けないというのは一体、誰のための五輪なのか。もう一度、真剣に考えてほしい」

 17日のU-24スペイン戦(神戸)の後、U-24日本代表キャプテン吉田麻也(サンプドリア)が、批判覚悟で主張した無観客五輪再考への機運は日に日に高まっている。 

 7月22日の初戦・南アフリカ戦(東京)までに状況が変わるとは言い難いが、選手たちの声は切実だ。

 実際、Jリーグやプロ野球は昨夏から有観客試合を実施。クラスター発生事例がないことは実証されている。エビデンスに基づかない決定への違和感は拭えない。

「どんな時でも想いは共に、日本の空に金メダルを掲げるぞ」

 スペイン戦後に行われた壮行セレモニー。スタンドにサポーターの願いが詰まった横断幕が掲げられた。

 肝心の本大会では「コロナ感染対策」を理由に横断幕はひとつも掲示できない。

 ファンの歓声がないだけでも選手にとっては辛いが、雰囲気を盛り上げる横断幕や国旗さえもないガランとした空気の中、試合をしなければならない。

 その現実がやりきれないという気持ちもあって、吉田は発言せずにはいられなくなったのだろう。

 五輪開催が危うくなってからというもの、アスリートに対して冷たい視線が向けられることは少なくなかった。

 白血病を克服し、東京五輪切符を手にした競泳女子の池江璃花子に出場辞退を迫る書き込みがSNS上でなされたのを筆頭に、何かにつけて選手は批判の的になりがちだった。

 U-24日本代表にしても「無観客は残念」「家族が来られないのは悲しい」と選手が素直な胸を内を吐露するたびに「運動会や修学旅行が中止になっているのに五輪が開かれるだけで感謝しろ」「戦ってるのはお前らだけじゃない」といった心ないコメントが寄せられていた。

 ひと際、責任感が強い吉田は、こうした現状にも我慢がならなかったのだろう。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    大阪万博「午後11時閉場」検討のトンデモ策に現場職員から悲鳴…終電なくなり長時間労働の恐れも

  4. 4

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 5

    遠山景織子の結婚で思い出される“息子の父”山本淳一の存在 アイドルに未練タラタラも、哀しすぎる現在地

  1. 6

    桜井ユキ「しあわせは食べて寝て待て」《麦巻さん》《鈴さん》に次ぐ愛されキャラは44歳朝ドラ女優の《青葉さん》

  2. 7

    江藤拓“年貢大臣”の永田町の評判はパワハラ気質の「困った人」…農水官僚に「このバカヤロー」と八つ当たり

  3. 8

    天皇一家の生活費360万円を窃盗! 懲戒免職された25歳の侍従職は何者なのか

  4. 9

    西内まりや→引退、永野芽郁→映画公開…「ニコラ」出身女優2人についた“不条理な格差”

  5. 10

    遅すぎた江藤拓農相の“更迭”…噴飯言い訳に地元・宮崎もカンカン! 後任は小泉進次郎氏を起用ヘ