著者のコラム一覧
元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

カタールでは出番なし GKシュミットが「4連続セーブなどゴンちゃんを素直にリスペクト」と打ち明けた

公開日: 更新日:

シュミット・ダニエル(シントトロイデン・GK/31歳)=前編

「カタールW杯に行ったことは誇りに思うし、嬉しいし、『よくやったな』という気持ちはありました。でも、悔しかった。やっぱり試合に出ないと意味がない。次の2026年北中米W杯に選ばれなかったら、カタールに行けた意味もない。とにかく成長して3年半後の大舞台に立ちたいと強く思います」

 こう語気を強めるのは、197センチの長身GKシュミット・ダニエルだ。第2次森保日本の初陣となる24日のウルグアイ、28日のコロンビア戦では正守護神に君臨する構えだ。

 ◇  ◇  ◇

 2022年9月のエクアドル戦で値千金のPKセーブを見せ、カタールW杯本大会のレギュラーに王手をかけたと見られていた。だが、ふたを開けてみると、4試合にフル出場したのは権田修一(清水)。彼はその一挙手一投足を川島永嗣(ストラスブール)とともに祈るように見守っていた。

「W杯前のドイツ遠征でいいパフォーマンスができたけど、それがメンバー選考に繋がるという期待は、あまりしていなかった。やっぱり最終予選を戦ってきた事実とは全く違うので。それを勝ち抜き、相当な重圧を跳ね除けたゴンちゃんはホントにすごいと思っていましたからね。実際、W杯でも質の高いプレーを見せ続けた。ドイツ戦の4連続セーブの場面なんかは、ヘディングもあったし、セカンドアクションからもあったし、難しいシュートが続いたのに冷静に阻止した。素直にリスペクトしています」と神妙な面持ちで言う。

 権田が防ぎきれなかったコスタリカ戦とクロアチア戦の失点シーンについても「外から見た印象でしか話せない」と前置きしつつ、このような見解を示している。

「コスタリカ戦の場面は想定より緩いシュートが来て、反応が難しかったのかな。GKはミスが起こってから準備を始めなきゃいけないから、あの場面はより難しかったと思います。しかも、僕らはワンプレーで評価が変わる浮き沈みの激しいポジション。周りから何か言われても気にせずやっていくことが凄く大事なんです。

 W杯時のゴンちゃんはタフなメンタルを見せていたと思いますね。クロアチア戦のペリシッチ(トッテナム)のシュートは、物凄い威力だった。僕も仙台時代に都倉賢選手(長崎)にああいうヘッドを決められましたけど、距離とパワーが凄いとどうしても反応が遅れがちになる。ホントにスーパーな1点だったと痛感します」

 そのクロアチアに決勝トーナメント一回戦で対戦してPK戦で敗れ、4度目の8強挑戦の道を断たれた。2大会連続4強の強豪国との差をシュミットはこう感じたという。

「クロアチアはシンプルに高いレベルのところでプレーしている選手が多いじゃないですか。彼らがもたらす安定感や安心感、ボールを落ち着かせる、人数をかけて攻めに行くといった使い分けは目を引くものがある。とにかく試合巧者ですよね。8強進出国、準優勝のフランスなんかは特にそうですけど、リーグ戦と欧州CLの連戦を経験している選手が多いので、最後まで強度が落ちなかった。経験豊富な彼らはW杯の重圧をそこまで感じないんだと思います。ベルギーにいる自分はそうじゃない。週2回ペースで重圧のかかるゲームを続けたら、精神的にも肉体的にも相当疲れると思う。その差はやっぱり大きいですね」

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