幕内復帰で初日から2連勝も朝乃山はやはり“理想主義者”…追い求めすぎに落とし穴あり
今場所、返り入幕を果たした朝乃山(29)は36歳のベテラン・妙義龍と対戦。立ち合いで右を差すと、左上手も掴んで引き付けてから寄り切り。右四つを得意とする朝乃山の本領発揮だ。
これで初日から2連勝。それでも本人は「まだ2勝しただけ」と浮かれる様子はない。
この日は綺麗に決まった右差し左上手だが、初日は不発。上手を取れず、右を差して寄り切る相撲だった。初日の取組後、朝乃山は左上手が取れなかったことを報道陣に質問されると、「それなんですよね」と頷き、「そこが直ってないんです。自分の課題ですね」と話していた。
朝乃山の右四つは、同じ型を持つ横綱白鵬(現宮城野親方)からも「自分の後継者になれる」と太鼓判を押されていた。当然、対戦相手も上手を取られまいと必死に対策を練り、朝乃山は上手を取ろう、取ろうという意識しすぎて、本領を発揮できないまま負けることも多かった。不祥事を起こした2021年5月場所は、そんな迷いの渦中にあった。
「もともと立ち合いの圧力が強く、当たって前に出るだけでも相手は嫌がる。これまでは理想の型にこだわるあまり、立ち合いが消極的になり、持ち味を殺していた。どんな強い力士だって、いつも理想の相撲が取れるわけではない。日々の稽古をきちんとこなし、体に動きを染み込ませることで、この日のように流れの中で自然と右四つになれるでしょう」(角界OB)
朝乃山は初日に「自分の相撲はあまり考えたりせずに前に出て行くこと」とも話していた。理想を追い求めすぎないことが、結果的に理想への近道になりそうだ。