「和製ハキミ」毎熊晟矢は無印・大卒選手の先輩である伊東純也のようにブレークして欲しい
毎熊晟矢(セレッソ大阪/DF/25歳)
9月の日本代表・欧州遠征メンバーにサプライズ選出され、ベルギーで開催されたトルコ戦で先発したのが、中村敬斗(スタッド・ランス)の3点目をアシストした新鋭右サイドバック(SB)の毎熊晟矢だ。
前半終了間際の1失点に絡むというホロ苦い部分もあったが、森保一監督から高く評価され、10月の代表2連戦(13日のカナダ=新潟、17日のチュニジア=神戸)にも引き続いて招集された。
「まず一歩を踏み出せたのが個人的に大きい」と自信を見せる遅咲き右SBへの期待は高まる一方だ。
毎熊は1997年、長崎生まれ。東福岡高時代の2015年には高校総体と高校選手権の2冠を達成。その後、桃山学院大学に進み、2020年に地元のJ2・長崎へ。その時点まではFWとしてプロキャリアを積み重ねるつもりだった。
ところが、同年のプレシーズンの合宿でチームを率いていた手倉森誠監督(現チョンブリー)から突如として「右SBをやってみろ」と告げられ、本人は戸惑いを隠せなかったという。
「正直、嫌でしたね(苦笑)。でも吉田コーチ(孝行=現神戸監督)が『このポジションでやれば代表まで行ける可能性がある』と言ってくれて、納得してトライできるようになりました」と本人はコンバート当初の出来事を明かす。
そこから長崎で右SBの経験を重ね、2022年にはJ1・セレッソ大阪に引き抜かれる。
この時点では松田陸(甲府)という絶対的右SBがいたため、毎熊は右MFでの起用が中心だった。が、小菊昭雄監督から「お前は近い将来、右SBで代表になれると思うから本気で目指せ。自分が信じなければ辿り着けない」と叱咤激励され、「いつかチャンスが来る」と信じて努力を続けていたという。
それが結実したのが今季。5月中旬以降は完全に右SBに定着。MFジョルディ・クルークスとのタテ関係が迫力を増し、小菊監督から「和製ハキミ(PSG)」と評されるようにもなった。
「僕が相手2人を剥がした場面がミーティングで出てきた時、いじられ気味にそう言われましたけど、小菊監督は冗談だけではそういうことを言わない人。だから素直に嬉しく感じました」と彼は日に日に自信を増していった。