プロの世界で結果を出したいなら「常識逸脱」すべし…打撃は理屈じゃなく感覚で身に付けるもの
僕は子供たちに打撃を教える時、「基本はもちろん大事。でも、自分の感覚や自分でつかむものはもっと大事なんだよ」と伝えるようにしている。
人間はそれぞれ体形や動き方、クセも違う。どう打てば打ちやすいかは、人によって違って当然である。自分に合った打撃は自分で見つけてつかむしかない。阪神に入団して数年間、思うような結果が出ず、そう考えるようになった。
選手は結果が出ないと、コーチに改善策を聞こうとする。しかし、大抵はそれで解決などしない。僕はどうやったら打てるのかを自分で突き詰めた。二軍時代はそれまで教わってきた基本とは正反対のことをやってみた。
「上から叩け」にとらわれず、バットを体の内側から「インサイドアウト」で振ってみると、感覚的にいい感じで、体の使い方が良くなることに気がついた。
ある選手にとっていい打ち方は、別の選手には打てない打ち方かもしれない。自分なりの感覚とは、そうした発想からつかむものだ。
この連載のタイトルのように、打撃とは理屈ではなく、体で覚えるもの、感覚で身につけるものなのだ。金本さんの片手打法を見て、そんな思いをより強くしたのだった。