正月に読みたい特選小説
(講談社 1500円+税)
■「逢魔」唯川恵著
古典の怪談話に材をとった官能奇譚集。
遺産で暮らす浪人の新三郎は、放蕩三昧の日々を送っていた。そんなある日、新三郎は遊び友達の医者・志丈から紹介された美しい旗本の娘・露に一目惚れしてしまう。露は、父親の後添いを狙う妾と折り合いが悪く、乳母の米と柳島の別邸に暮らしていた。数日後、新三郎の家を米が訪ねてくる。あの日以来、露が恋わずらいで伏せってしまったという。見かねた米の仲介で夜ごと露とあいびきを繰り返す新三郎だが、旗本の娘に手をかけるわけにもいかず一線を越えることは出来ない。やがて露から夫婦の契りを結びたいと求められ、2人は結ばれるが、2人の仲が父親に知られ、露は屋敷に連れ戻されてしまう。(「朱夏は濡れゆく 牡丹灯籠」)
その他、「番町皿屋敷」や「ろくろ首」など8作品を収録。
(新潮社 1600円+税)