「マイパブリックとグランドレベル」田中元子著

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 夫と建築にまつわる企画や編集の仕事をしてきた著者は、神田の築50年の小さなビルの4階に事務所を構えた。2人で使うにはやや広く、デッドスペースにバーカウンターを設置して来客や仕事仲間にオリジナルの「建築カクテル」を振る舞った。

 これがなんとも楽しい。お金を介在させることなく時間と場所を共有できる居心地のよさ。これをまち中でもできないかと、移動式のパーソナル屋台をつくってコーヒーを無料で振る舞うと、そこに小さな自家製の公共空間が生まれる。名づけて「マイパブリック」。

 さらには、まちごとマイパブリックにしてしまえということで、公園、駅、ショッピングセンター(の1階)、集合住宅(の1階)といった地上=グランドレベルで、マイパブリックを効果的かつ有意義に実現していく。行政や組織が主体ではなく、個々人がつくる多様なパブリックな空間を通じて、まちの景観や人々とのコミュニケーションを図っていく。

 そんな豊かなまちづくりへの実践テキストが満載。(晶文社 1800円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

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