「総中流の始まり」渡邉大輔・相澤真一・森直人編著
1970年代には日本社会全体が「総中流」であるかのような感覚があった。
50年代から研究者たちは「食」と「寝」こそが住宅の核心であるという認識を得て、「食寝分離」を原則として設計。DK、さらにLDKを考案した。2DK、約40平方メートルの間取りが子育て世代向けの住宅として広がっていった。公団の団地にも、リビングルームと子ども部屋を確保したLDKの間取りが採用された。
そういう団地の住人に、団地の同じ棟の住人と狭く浅い交際をするだけの人間関係が増えていく。そして、同じ方向に向かって進む「群れ」となり、内部の比較と模倣が行われるようになる。
社会調査に基づき、「団地」と「中流」の誕生を考察する。
(青弓社 1600円+税)