「罪人の選択」貴志祐介著

公開日: 更新日:

 1946年、磯部武雄は防空壕の中で、見届け人、浅井正太郎の前で、佐久間茂に猟銃を向けられ、ある選択を迫られていた。佐久間が出征中に、磯部が佐久間の妻、淑子を汚したことを責め、焼酎と缶詰のどちらかを選べと言う。どちらかが毒入りなのだ。

 1964年、浅井の私生児である黒田正雪は、同じ防空壕の中、磯部の娘で、佐久間に育てられた満子に猟銃を向けられていた。満子の妹、史子は黒田に弄ばれて捨てられ、首を吊ったのだ。満子は黒田に、焼酎か缶詰を選べと言う。防空壕の奧には、満子の父、磯部の白骨死体があった。磯部はそのとき、どちらを選択したのか。黒田は必死で生き残る道を探るが……。

 SFなど4編の短編集。

(文藝春秋 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動