「日本の川 読み歩き」岡村直樹著

公開日: 更新日:

 嵐山光三郎や童門冬二は、忍者の本場である伊賀上野出身の俳人、芭蕉は隠密で、「おくのほそ道」の旅は東北各藩の水路調査が目的だったと考えた。芭蕉が仕えた藤堂家は土木工事に秀でていて、芭蕉も江戸の水道工事に携わっていたのだ。水戸の徳川光圀は、芭蕉は柳沢吉保の密偵ではないかと疑っていたし、吉保は逆に芭蕉が光圀の密偵だと疑っていた。芭蕉の旅に同行した弟子の曽良は、実は吉保の密偵だったのだ。(童門冬二著「異聞 おくのほそ道」)

 ほかに、空也上人が疫病に苦しむ人々に粥を施した京の河原(梓澤要著「捨ててこそ空也」)、出雲の阿国が念仏踊りを踊った鴨川の四条河原(有吉佐和子著「出雲の阿国」)など、交通の要路であり、芸能の場であり、罪人の処刑場ともなった川をめぐる100冊の時代小説を紹介する。

(天夢人 1760円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    遠山景織子の結婚で思い出される“息子の父”山本淳一の存在 アイドルに未練タラタラも、哀しすぎる現在地

  2. 2

    桜井ユキ「しあわせは食べて寝て待て」《麦巻さん》《鈴さん》に次ぐ愛されキャラは44歳朝ドラ女優の《青葉さん》

  3. 3

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  4. 4

    元横綱白鵬「相撲協会退職報道」で露呈したスカスカの人望…現状は《同じ一門からもかばう声なし》

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  1. 6

    西内まりや→引退、永野芽郁→映画公開…「ニコラ」出身女優2人についた“不条理な格差”

  2. 7

    永野芽郁“二股不倫”疑惑でCM動画削除が加速…聞こえてきたスポンサー関係者の冷静すぎる「本音」

  3. 8

    佐々木朗希が患う「インピンジメント症候群」とは? 専門家は手術の可能性にまで言及

  4. 9

    綾瀬はるかは棚ぼた? 永野芽郁“失脚”でCM美女たちのポスト女王争奪戦が勃発

  5. 10

    江藤拓“年貢大臣”の永田町の評判はパワハラ気質の「困った人」…農水官僚に「このバカヤロー」と八つ当たり