「叶うならば殺してほしい」古野まほろ著

公開日: 更新日:

 2021年春、東京・井の頭公園近くの住宅街で火災が発生した。火元となったのは2階建てのごく普通の一軒家。隣家への延焼は免れたものの、2階も1階もほぼ全焼。その家から飛び出してきた高校生・仁科徹は保護されたのだが、被害家屋からは焼死した男2人と女1人、重傷の男1人が発見され、女の手には手錠がかけられていた。

 本件の担当捜査官となったのは、警視庁刑事部捜査1課キャリア管理官の箱﨑ひかり。現警察庁長官の一人娘であり、捜査が難航していた連続殺人事件を一人で解決してしまった手腕の持ち主だ。当初、民家の失火と思われた事案だったが、状況から集団監禁、集団強制性交が疑われる上、証言可能な仁科は一言も話さないため、事情がつかめず箱﨑に白羽の矢が立ったのだ。捜査を進めるうち鬼畜な監禁事件の全容が見えてくるなか、完全黙秘していた仁科が自白を始める……。

 警察庁第1種警察官としてキャリアを積み、警察大学校での主任教授を経て退官した後、第35回メフィスト賞を受賞して小説家デビューした著者による警察ミステリー。元警察官ならではの臨場感が絶品。

(講談社 2860円)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元グラドルだけじゃない!国民民主党・玉木雄一郎代表の政治生命を握る「もう一人の女」

  2. 2

    深田恭子「浮気破局」の深層…自らマリー・アントワネット生まれ変わり説も唱える“お姫様”気質

  3. 3

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  4. 4

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  5. 5

    東原亜希は「離婚しません」と堂々発言…佐々木希、仲間由紀恵ら“サレ妻”が不倫夫を捨てなかったワケ

  1. 6

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    “令和の米騒動”は収束も…専門家が断言「コメを安く買える時代」が終わったワケ

  4. 9

    長澤まさみ&綾瀬はるか"共演NG説"を根底から覆す三谷幸喜監督の証言 2人をつないだ「ハンバーガー」

  5. 10

    東原亜希は"再構築"アピールも…井上康生の冴えぬ顔に心配される「夫婦関係」