「その先の道に消える」中村文則著
刑事の富樫は、殺された男の所持品に麻衣子の名刺を見つけ動揺する。麻衣子は、富樫が何度もアタックしたが、受け入れてもらえなかったホステスだ。現場の部屋には、彼女が被害者の吉川と暮らしていた痕跡があった。
麻衣子は刑事として現れた富樫に犯行を自供。麻衣子によると甘い言葉で吉川の部屋に連れ込まれ、監禁されていたという。吉川は緊縛師だった。富樫は、麻衣子を捜査線上からはずそうと画策。やがて吉川という名が偽名だったと判明。現場のアパートの名義人・亜美も行方が分からなくなっていた。麻衣子が持ち出した吉川の手帳に記された亜美の家を訪ねた富樫は、別の男の遺体を見つける。
純文学やハードボイルドなどジャンルを横断した文体で読者を物語に引きずり込む徹夜必至の書。
(朝日新聞出版 693円)